出来れば手術はしたくない。家族に迷惑をかけたくない。孫のお世話をしてあげたい。ある腰痛で苦しむ女性からそのお氣持ちを受けて、私は綿密な運動療法の計画を立てました。それは以前少しお話をさせて頂いたマニュアルレジスタンストレーニングだけではなく、筋トレやストレッチといったよく知られたものでもない、若返り筋と呼ばれるインナーマッスルを鍛える方法です。
まずはその前に痛みはなぜ起こるのでしょうか。みなさまがこれまで長い間お仕事や家事、スポーツなどを頑張ってこられた結果として起こる結果として考えられます。
では腰痛や他の部位に痛みが出ない人は頑張っていなかったのかというとそうではありません。無意識のうちの長年の「姿勢」や「動作」の「くせ」が深く関係しているのです。つまり、昔からの「体の使い方」「体の動かし方」の癖が痛みの出ている部分に繰り返し繰り返し負荷をかけて痛みが発症します。
インナーマッスル(深層筋)は体の深部にある主に姿勢を維持する為の筋肉です。常に脱力した姿勢でいるとすぐに弱ってしまう筋肉でもあり、無意識で使っているので、とても鍛えにくい筋肉でもあります。
これに対してアウターマッスル(表層筋)は体の表面にある筋群のことをいいます。
そこで本日は、インナーマッスルに更に踏み込んでまいります。
主なインナーマッスルの筋肉には、胴回りを細くするための腹横筋、
背骨の安定に欠かせない多裂筋、肋骨の内側で呼吸に関係するドーム状の横隔膜、骨盤を下支えしている筋群の骨盤底筋群、歩くときにメインとなる大腰筋などがあります。
インナーマッスルの中でも、上から4つの筋肉に囲まれている部分は、インナーユニットと呼ばれています。
その他のインナーマッスルは、肩関節周りのインナーマッスル群、股関節周りのインナーマッスル群があります。
インナーユニットの中の腹横筋は、腹式呼吸の際に息を吐くときに働き、腹圧を高めお腹をへこませる働きもあります。内臓を覆うようについているため、内臓の位置や内臓の位置や便通を整える働きも担っています。
次に多裂筋は、首から腰の脊椎の椎体をまたいで着いている小さな筋肉で、両側の多裂筋が働くと脊柱が進展し、片側が働くことで脊柱を回旋、側屈する働きがあります。
次に横隔膜は筋肉だということはご存知でしょうか❓実は呼吸以外にも体幹を支える大事な器官であり筋肉なんです。
横隔膜の役割で思いつくのはまずは呼吸です。腹式呼吸を行う際、息を吸う時の主力筋として働きます。横隔膜が収縮することで胸部の内圧が下がって強制的に肺に酸素を取り入れることができます。
初めに申し上げた「腹横筋」と逆の働き(拮抗筋)を担っていて主力呼吸筋として重要な役割を果たしています。
呼吸に関しては、自律神経などの深いお話も出てきますので改めて詳しくお話をさせていただきます。
そして「横隔膜」と骨盤の下を支えている「骨盤底筋群」が向き合うカタチといわれています。
骨盤底筋とは、恥骨の下部(底)に位置する筋肉の総称です。複数の筋肉の集合体であることから「骨盤底筋群」とも呼ばれています。
骨盤底筋は、体幹(胴体)を底支えする《縁の下の力持ち》のような役割を担うもので、骨盤を支え、膀胱や直腸、子宮などを正しい位置に保つ、尿道を絞めて尿漏れを防ぐ働きがあります。
骨盤底筋を鍛えると、さまざまな病氣や不調の予防につながるのはもちろん、インナーユニットも強化されます。
このなかでも、重視しているのは股関節周りの筋群の大腰筋は最重要です。
なぜならば、立つ、歩くの姿勢に大きく関係しているからです。
体幹にある大胸筋や腹直筋、僧帽筋、四肢の上腕二頭筋、大腿四頭筋、腓腹筋などのアウターマッスルに比べると、インナーマッスルはとても地味です。
インナーマッスルは、聞いたことがない筋肉が多く、体の奥にあり直接ふれにくいので、存在がつかみにくく意識しにくい筋群だからです。
次回はそのインナーマッスルの作用についてのお話をさせていただきたいと思います。